君を愛す ただ君を……

夕食を食べて、カフェで少し会話をしてから、俺らは手を繋いで暗い夜道を歩いた

凛の家は、駅二つ先にある

同じ市内だし、歩いて帰れない距離じゃない

いつも夜に会うときは、歩いて凛の家まで向かった

凛のスカートが風でゆらゆらと揺れるたびに、俺の身体が熱くなる

欲望…というか凛を抱きたいという欲求が前面にでてきてしまいそうになる

凛はそんなに派手な格好はしない

もともとお嬢様育ちだからか

清楚な服で、胸元はきちんと隠し、足もそんなにさらけ出したりはしない

なのに、ふと風になびく髪の匂いや…髪を掻きあげる仕草、風に揺れるスカートを見るだけで俺の欲望がむき出しになる

だからってそのまま勢いにのって、凛を抱いたりはしないけど

夫であるあいつは、凛を抱ける特権を持っているのに苛つく

何であいつなんだよって心の中で叫んでしまう

俺の意識が怒りでドロドロになる前に、携帯の着信音でストップされた

「あ…ごめっ」

俺はポケットから携帯を出して、電話に出る

「はい?」

『雑誌者の山村です』

「あ…ああ」

俺は大きく頷いた

この前、大学に来て名刺を渡してたなあ…なんて思い出す

『夏の大会で、密着取材をすることになりましたので…ご挨拶をと思いまして』

「あ…そう。俺、そういうのよくわかんないんで。コーチにお願いします」

『ええ。コーチにももう挨拶はしまして…』

「そうですか。じゃあ、よろしくお願いします」

俺はそう言うと電話を切った