君を愛す ただ君を……

何分、凛の唇に俺は触れていたのだろう

湧きあがる欲望を、理性で蓋をしてから、俺は凛から離れた

凛の唇が少し赤くなっている

俺が深いキスをしすぎたからだ

「凛、てっきり今来た電車に乗ってるかと思った」

改札から、どどっと出てきた人の群れを見ながら俺が口を開いた

「8時に来て、デパートで買い物をしてたんです」

凛が手に持っている買い物袋を見せた

「そうなんだ」

紙袋から見える男物の服に、俺は嫉妬をする

俺と会うのに、夫の服を選んでいたのかよ

俺と会う前に考えていたのは、俺じゃなくて旦那のことかよ

胸の奥が苦しくて、痛い

苛々したどす黒い感情が、俺の心を覆っていく

「夏の大会は、遠征になるんですよね?」

「え? あ、ああ」

俺は慌てて、笑顔を作ると凛の顔を見た

「これ、良かったら使ってください」

「え?」

凛が買ったばかりの紙袋を俺に差し出した

「これ…俺に?」

俺は恐る恐る紙袋の取っ手に触れた

みるみる黒い感情は消え、かわりに大粒の花が飛び出してくるような嬉しすぎる感情が胸を支配していく

嬉しさのあまり心が破裂してしまいそうだ

「遠征中の生活がどういうものか…よくわからないんですけど。シャツとか必要かな?って」

「ありがと。すげえ嬉しい」

俺は紙袋を持ったまま、凛に抱きついた

遠征中なんてほとんどジャージだけど…凛にもらった服も着よう