君を愛す ただ君を……

「なあ…もしかして、あの子がアレか?」

飲み会の席で、まわりを気にしながら佐山が俺に近づくと、配膳に気を配っている凛を見ながら聞いてきた

「アレ?」

「だから…前に言ってた…」

「さあな」

俺は肩を持ち上げると、知らないふりをした

「まあ、いいけど。それより佐久間がかなーり、気になってたぞ。お前らの関係! お前が女を連れてくるなんて初めてだろ?」

「そうだな。もう一年も彼女がいなかったし」

俺はビールを口の中に流し込んだ

「そっか…もう一年かあ」

佐山がにやっと笑った

「どうだった? 恋人のいない一年間はっ」

「まあ…どうにか」

「下半身が辛いっすか?」

「別に」

俺は、凛が靴を履いて下に降りて行ったのが見た

トイレはこの階にあるし、どうして下に行く必要があるのだろうか?

俺は佐山との会話を打ち切ると、靴を履いて凛のあとを追った

『あ、ライちゃんの彼女! そこからケースごと、持って行っていいから』

は?

俺はおやっさんの声に、耳を疑う

ケースごとって瓶ビールのことかよ

なんで凛が運ぶんだよ

『…て、大丈夫? 持てる?』

『あ…頑張ります』

『一年坊主は何してんだろうなあ。こういうのは、一年がやんのに』

本当だよ

なんで一年が運ばないんだよ

俺は凛が持とうとしている、瓶ビールケースに手を伸ばした