君を愛す ただ君を……

バイトが終わるなり、俺は急いで家に帰った

バイトとアパートのそんな短い距離とは言えない道のりを、短距離走のごとくダッシュした

部屋に到着するころには、身体が汗だくで、とてもバイトと同じ服ではいけないくらい汗でぬれていた

「汁だく大盛りで!…て感じか?」

玄関のドアを開けると、汗が流れ落ちる自分の顔が鏡に映っていた

これから凛に会えるという嬉し過ぎる気持ちを落ちつけるつもりで、独りで冗談を呟いた

「意味わかんねえ…てか、汗のつゆだくなんていらねえし」

鞄を放り投げると、俺はそのままシャワーを浴びた

凛に会える

会って、何を話そうか

どんな話しをすれば、凛が俺に好意を持ってくれるのだろうか

シャワーで汗を流すと、俺は洗いたてのシャツに腕を通した

着替えの途中で鞄の中で、携帯が鳴っているのがわかった

なんだよ…忙しいのに

悪態をつきながら俺は携帯を取り出して耳にあてた

「はい?」

『ライ…4時には来れるんじゃなかったの?』

佐久間からの電話だった

電話の後ろは、すごく騒がしい

飲み会が盛り上がってるのだろう

「あ…ちょっと、用があって。5時過ぎになる」

俺は携帯を耳と肩で挟むと、足にズボンを入れた

『え? なんて言った?』

後ろが煩くて、佐久間には聞こえなかったようだ

「5時過ぎるから! じゃあな」

大きな声で言うと、俺は携帯を切った

忙しいんだから、もう電話かけてくんなよ!

心の中で、携帯に向かって呟いた