君を愛す ただ君を……

「いいんですか?」

俺は凛と小さくなっていく凛の旦那の背中を交互に見やった

「何がですか?」

凛が不思議そうな顔をして、首を捻った

なんで、平然としてるんだよ!

凛を裏切ってるんだぞ

あの男は、凛以外の女とエロビデオを借りて、これから楽しもうとしているのに、なんでそんなに普通にしていられるんだよ

「旦那さん…思い切り浮気してましたよ?」

俺はできるだけ感情を抑えて、質問をした

「あっちが本気なのかも」

「はい?」

「あ…薔薇の香水」

凛が、鼻をひくひくさせた

『あっちが本気』ってなんだよ

見合いして、結婚させられたは凛だけじゃないってことかよ

あの旦那も、凛と結婚させられたってわけか?

何だよ、その意味のわからねえ結婚は!

「香水って、大人って感じですよね?」

凛が微笑むと、返却カートに手を突っ込んだ

どこが大人だよ

ただ…匂いで本来の自分を隠しているだけだろ

「そうですか? 俺…香水とかって好きじゃないから。鼻がもげる」

「もげ……ぷっ」

凛がクスクスと笑った

その笑顔だけで俺は、心がふっと軽くなった

凛の旦那に対する怒りが少し和らいだ気がした