君を愛す ただ君を……

「おはようございます」

凛の声が横から聞こえてきた

俺は声に出して、挨拶ができなかった

「あ…おはよう、永田さん」

俺の隣にいるパートのおばさんが笑顔で挨拶をしていた

「……っす」

凛が奥に入ってくるのがわかって、かろうじてでた言葉で挨拶をした

凛が俺の後ろにある返却ボックスにたまったDVDに近づいた

なんで、俺の後ろにあるんだよっ

これじゃあ、緊張してレジなんて打てないっつうの

俺の背中が、緊張でピリピリとしてきた

凛が後ろに居る

もうそれだけで、俺の頭はパニック寸前だ

何も考えられなくなる

「あの……」

か細い声が背後でしてきた

これって…もしかして凛が俺に話しかけているのか?

俺はゆっくりと振り返ると、凛が俺の目を見ていた

全身の血がカッと温度をあげる

ぐつぐつと煮えていくのがわかった

「桐沼さんって背が高いですけど…何かスポーツってやってますか?」

俺は視線をあげた

この子は…俺のバスケ姿を知らないんだ

恋愛の第一関門クリアだな…なんてちょっと思ってしまう

いや…クリアも何も、彼女は人妻だから! ともう一人の自分が突っ込みを入れる

「バスケを」と擦れそうになる声で、俺は答えた

「そうですか」

凛の視線がボックスに向きそうになり、俺は慌てて「永田さんは?」と口を開いた

せっかく話せる機会ができたのに、このまま終わるなんて勿体ない