君を愛す ただ君を……

「佐久間は今、フリーだぞ」

「なんで、佐久間なんだよ」

「お前を熱い視線で見てるから」

「そんなの大勢いるだろ」

「うわっ…嫌だね。モテてるって自覚しちゃってる男のセリフって…これ以上のない嫌味だねえ」

佐山が首を振りながら、耳を塞いだ

「お前だってモテるだろ。俺ほどじゃないけど」

「はいはい、同情はいりませーん。俺はモテませんからっ」

嘘をつけ…と俺は心の中で突っ込んだ

「なあ、佐山。他に男のいる女に手を出すって罪になるのか?」

「ああ?」

佐山が眉をひそめると、俺を見た

「何…お前、男のいる女に惚れてるのか?」

惚れてる?

いや…違う

俺は頭の片隅に、あの子がよぎった

制服を着て、下を向いていた子

左手の薬指に指輪をつけて、買い物袋を腕にかけていたあの子を…

惚れてない

ただ気になっているだけ

あれからどうなったのか

それだけだ

惚れてるわけじゃない

「お前の禁欲生活も3カ月という記録で終わるのか」

佐山がしみじみと呟いた

「違うだろ。ただ聞いてみただけだ」