君を愛す ただ君を……

「あの…、そのDVDを取ってもらっていいですかぁ」

返却されたDVDを棚に戻していた俺に、女性が声をかけてきた

香水の香りが、ツンと鼻の奥を刺激してくる

俺…あんま香水って好きじゃないんだよな

「あ、はい」

俺は小柄な女性が指をさしているDVDを取ると、彼女に渡した

そのお礼と言わんばかりに、俺の手には名刺のようなカードが乗せられた

「は?」

俺は可愛い柄の名刺に視線を落とした

『小原 水絵』と一番上に書いてある

たぶん、小柄な女性の名前なのだろう

「よく夜にバイトに入ってるでしょ? 何度か見かけてるの。実は声をかけるチャンスをうかがってて…連絡欲しいなあ」

「はあ」

小原さんが、ぴとっと俺の腕に胸の谷間をつけてくる

俺は少し後ろに下がるが、小原さんがさらに距離を詰めた

「まだ…何か?」

「バイト、何時に終わるの?」

「そのうち」

「ねえ、私のアパートに来ない?」

「行かないです」

「どうして?」

行かないだろ…普通は!

俺と小原さんが会話をしていると、スタスタと一人の男性客が近づいてきた