君を愛す ただ君を……

バイトは楽しい

バスケ以外の世界を初めて知った気がする

友人と呼べるような人はまだいないけど、バスケをやってる俺じゃない俺を見てくれる新鮮さが心地よかった

レンタルビデオショップのバイトをなぜ選んだのか…と質問されても、俺自身、うまく答えられない

ただ、なんとなく

俺はあまり映画を見たりしないから…どんな世界なのかと思ったのがきっかけだと思う

もともとテレビを見る習慣が俺にはないからかもしれない

実家にいたときも、テレビはBGMって感じで、とくに興味もなかった

リモコンの主導権を握ってるのは年の離れた弟と妹で、俺は食事以外は部屋にいるか、ランニングしに外に出ていたから

テレビを見るという環境とは無縁だった

もともと、家族団らんの輪に入るのが苦手だった

俺を産んでくれた母は、身体が弱くて、俺を産んで3年後に他界したらしい

記憶がないから、わかんないけど

仏壇にある母親の顔がずっと若いままなのは知ってる

父もあまり話したがらないから、うる覚えな記憶でしかない

小学4年のとき、新しいお母さんができた

優しくて料理が上手で…自慢の母ではあったけど…甘えられなかった

すぐに父の子を妊娠して、弟ができた

弟ができたと思ったら、つぎは妹だ

可愛いけど、俺と両親との間に距離があいたのは確実だった

互いにわかってたけど、埋める方法を見つけられずに今まできている

これからもずっと近づくことはないんだろうと思う

近づきたいとも思わないし、この今の距離がちょうどいい