君を愛す ただ君を……

ママはあたしが目に入っていないのか…無視をしているのか

わからないけど、ママはいきなりパパの頬を平手打ちした

「ここは人目があるから…」

パパはそう言ってママの肩を抱いて奥に入っていく

院長室に向かう階段のところで、ママが泣きながらパパに抱きついた

パパがそっとママの背中を撫でてあげた

あたしは車いすを押して外に向かった

お兄ちゃんの肩に手をかけて、莱斗さんが車いすに座った

「ママは、まだパパが好きなのかな」

あたしは、パパに抱きつくママを思い出すと、ぼそっと呟いていた

「家族…なんだろ。あの二人には、好きとか嫌いとか、そういう感情はもう存在してないと思う。家族だから、泣けば抱きしめてあげる。つらいときは傍にいてあげる。ストレスがたまれば、発散させてあげる。イメージ的には俺と凛みたいな感じだろ」

お兄ちゃんが、車いすを押しながら病院の中に入ると、階段のところで抱き合ってる二人に視線を送った

ママが泣いてる

あんな風に泣いてるママを初めて見た

「よく…わかんないな。あたしには…」

「複雑なんだろ。長い夫婦生活を送った二人だし」

お兄ちゃんが治療室のほうへ、車いすを押していく

あたしはお兄ちゃんの横を歩いた

莱斗さんが手を伸ばすと、あたしに手を握ってくれた