君を愛す ただ君を……

「優勝、おめでとう」

「ああ。ありがとう。怪我、平気?」

「うん。平気。これからお兄ちゃんに消毒してもらうの。それと離婚する。明日、離婚届を出しに……」

行くから…と言おうとしたところで、肩をぐいっと後ろに引っ張られた

「凛っ! やっぱりこういうことだったのね」

あたしの肩を掴んだのはママだった

怖い顔をして、あたしと莱斗さんを睨むとあたしの頬を叩いた

「圭輔君から聞いたわよ。1回くらいの浮気で癇癪を起こすなんて、許しなさいって言ったでしょ。浮気されたからって、自分も浮気だなんて……ハシタナイ」

ママがあたしの手を掴むと、ぐいぐいと引っ張った

「ちょ…嫌だ。どこに行くの」

「家に帰るのよ。圭輔君が、別れたくないって泣いてたわよ」

「嫌だ。イヤダ!」

帰りたくない

会いたくない

もう別れたい

あんな愛のない生活に戻りたくない

ただの飾りなんて嫌だ

出世するための道具でしかないなんて…嫌だ

あたしだって、愛されたいし、愛したいよ

「あの…『1回くいらの浮気』って酷くないですか?」

莱斗さんが、あたしのママの手を掴むと低い声で質問した

「貴方には関係ないでしょ」

「なら、貴方にも関係ないですよね?」

「私は凛の母よ」

「俺だって、凛の恋人だ」

「は?」

ママが眉をひそめると、莱斗さんを睨む

「凛がどう生きようと、それは凛自信が決める。俺でも凛の母でも、凛の気持ちや判断を責められない。違いますか?」