君を愛す ただ君を……

夕方6時になると、お兄ちゃんから電話がかかってきた

『凛、手が空いたら病院においで。傷の消毒をしよう』

「うん、わかった。あとお兄ちゃん、外来に桐沼さんって人、来た?」

『いや…来てないけど』

「もしかしたら7時まで来れないかもしれないって言ってたんだけど…診てもらえる?」

『桐沼さんね。わかった。じゃあ、今からおいで。2番の診察室にいるから』

「うん。ありがと」

あたしはお兄ちゃんとの電話をきると、カーディガンを羽織った

アキさんに、病院に行って消毒をしてくる旨を言ってから、出発した

莱斗さんの足…早く良くなるといいなあ

あたしは大股で、道を歩きながら病院に向かう

5分もすれば、病院の入り口が見えてくる

病院の自動ドアをくぐろうとすると、「凛?」と背後から声をかけられた

振りかえると、タクシーから降りたばかりの莱斗さんがスポーツバックを肩からかけて立っていた

あたしの顔を見た莱斗さんの眉に皺が寄る

目を細めて、唇を噛むと、あたしに駆け寄った

「その顔…どうしたのっ」

「あ…えっと。旦那と……」

ここで莱斗さんに会うと思ってなかったら、うまく言葉にできなかった

何からどう話せばいいのか

頭が働かない

「いつ?」

「4日前」

「何で俺に言ってくれないんだよ」

「大事な試合前だったから、悪いと思って」

「言ってくれよ。知らないでいるほうが……嫌だろ」

莱斗さんが苦しそうな表情になると、あたしの肩を抱き寄せた

「ごめん。辛かっただろ。我慢しなくてよかったのに」