君を愛す ただ君を……

パパの病院で、お兄ちゃんと陽菜さんに治療してもらった

アキさんは傍にいてずっとあたしの手を握っていてくれた

「俺、殴ってもいい?」

「愁一郎!」

お腹の大きい陽菜さんが、お兄ちゃんの肩に手を置いた

「殴っちゃえば?」

アキさんが、口を開いた

「離婚しなさい。もう家に帰る必要なんてない。あんなところは家じゃない。愁平さんと私と、一緒に暮らそう。私がいて嫌かもしれないけど…暴力夫のいるような家に帰るよりはいいと思うから」

あたしはアキさんの言葉に頷いた

「帰りたくないです」

あたしはアキさんの腕を掴むと、わっと泣き出した

「…怖かった。すごく。あたし…殺されるかと…思った」

「もう大丈夫よ。凛ちゃんは生きてる」

アキさんはあたしを抱きしめると、優しく背中を撫でてくれた

「俺、やっぱ…殴りたい。凛をこんな怖い目にあわせたんだ。許せない」

お兄ちゃんが低い声で、呟いた

「ありがとう、お兄ちゃん」

お兄ちゃんが、なんとも言えない表情で微笑んだ

「お袋は知ってるのか?」

お兄ちゃんが質問した

あたしは首を横に振る

「言っても……家に帰れって言われる気がして」

「そっか。わかった。まあ、お袋への報告は親父がするだろ」

お兄ちゃんが大きな手で、あたしの頭をポンポンと叩いた