君を愛す ただ君を……

「凛、ただいま」

「おかえりなさい」

帰ってこなくてもいいのに…とか思っちゃうのはきっと心が莱斗さんにむいているからだろう

莱斗さんに会いたい

あたしは立ち上がると、旦那に振り返った

本当に会いたい人は、テレビでしか見れなくて…見たくない人が目の前にいるって

すごくストレスが溜まる

旦那があたしの前でスーツを脱ぐと、上着をソファにかけた

ふわっと薔薇の匂いが、あたしの鼻孔を刺激した

「あ…みーちゃんに会った?」

旦那の目がぱっとあたしを見ると、身体が氷のように固まった

「あ…会ってないし。別れたって言ったよね」

物凄い早口で答えてから、スーツの上着をするっと自分に引き寄せて、旦那が腕にかけた

「わかりきった嘘をつかれるのって、嫌なんだけど?」

一人で着替えようと、旦那があたしに背を向けたところで、あたしは言葉をぶつけた

「離婚届…その棚の引き出しに…」

「ああっ! 会ったよ。会いました。仕事が終わってから、ちょっとだけ…。仕方ないだろ。凛が、僕を拒むから」

「拒むでしょ。浮気女の手垢がいっぱいついたその身体に触れられたいなんて思わないし。第一、あたしの気持ちは、貴方にないから」

「離婚はしない」

「あたしは離婚をしたい」

「君のお母さんが反対してるんでしょ? 離婚を」

「今はね」

離婚をしたいと言ったあたしに、ママが凄い勢いで反対した

一回くらいの浮気なんて許しなさい…だって