君を愛す ただ君を……

5階で扉が開くと、あたしは二人に笑みを送った

「あ…り、凛っ?」

旦那の顔が、ひどく醜く歪んだ

「どんな学会が知らないけど、楽しそうで良かった。すごく行きたくなさそうな顔をしてて、あたしだけがバスケの試合を見に行って楽しんでるなんて悪いって思ったけど…お互い楽しい時間だったみたいね」

あたしはエレベータを降りると、旦那に微笑んだ

莱斗さんは、エレベータから降りずに、あたしを見送った

きっとあたしのことを考えて他人の振りにをしてくれたのだろう

「ちょ…凛、ちがっ」

閉まりかける扉から、旦那が降りた

みーちゃんが、エレベータの中に残されたまま扉が閉まり、上へと行ってしまった

「なに? 旦那が学会に行ったと思ってた女よ…思い切りウケていいよ。笑いなよ」

「凛…これには」

「深い事情があって…とかっていう言い訳は聞かない。だって面倒くさい。時間の無駄でしょ?」

莱斗さんも…言い訳するのが面倒くさいって言ってたなあ…なんて思い出す

どうせ嘘をつかれるくらいなら、聞かないほうがいい

「あたし、鈍感じゃないよ。浮気をしているのも知っていたし、愛されてないのもわかってた。ただ…何が幸せなのか…わからなかっただけ」

「凛、僕の話を聞いて…」

「聞かない! 聞きたくない。入籍して1年も過ぎているのに、身体の関係もなくて、寝室も別々で…一緒に食事した回数なんて、片手で数えられる。そんな夫婦に意味があるとは思えない。みーちゃんと一緒になったほうがいいんじゃないの? みーちゃんって人は、貴方と一緒になりたいって言ってるし」

「凛、僕は君を…」

「別れたほうがいいと思う」

最後まで聞かずに、あたしは旦那の言葉を遮断した