君を愛す ただ君を……

痛くても辛くても、自分でどうにかする…そういう考え方なんだ

あたしは、痛くならないように…辛くならないように…怪我をする前に、怪我しないような対処をしちゃってる

石橋を叩き過ぎて、間違った橋を渡っちゃったみたいな気分だよ

エレベーターが開くとあたしと莱斗さんが乗り込んだ

「何階?」

「あ…5階」

あたしはカードキーを見ながら呟いた

「あっ、待って! 乗りまーす。圭くぅん、早くぅ」

閉まる扉に乗り込んできた女性の声にあたしは、びっくりした

顔をあげようとする前に、莱斗さんが大きな背中であたしを隠した

あたしの視界には、莱斗さんの白と赤のジャージしか見えなかった

「みーちゃん、待ってよ」

「待てないよ! 早く部屋にいこっ。でもさ、今頃奥さんは圭くんが学会で論文を発表してると思ってるんだよね? そう思うとウケル」

みーちゃんとやらが、ケラケラと笑った

同じホテルなんて、最低…

「あいつ、鈍感だからなあ。仕事だって言えば、疑わずに送り出してくれる」

「ねえ…どうして離婚しないの? みー、圭くんと一緒になりたい」

「僕だって離婚したいよ。だけどあいつの後ろ盾が今は欲しいんだよね」

ぎゅっと莱斗さんの手に力が入るのが、見えた

平気だよ、あたし…何とも思ってないから

あたしは莱斗さんの手をそっと触った

「でもさー、エッチしてないんでしょ? いい加減、夫に愛されてないって気付かないのかなあ」

「気付かれたら、困るって」

「みー、圭くんの妻になりたいよ」

「なれば?」

思わず、あたしは口が開いていた