君を愛す ただ君を……

莱斗さんが深呼吸をしてから「傍にいたい」と小さい声で言った

あたしは下を向くと、莱斗さんの手を握った

「誰かに何かを言われるのが怖いんです。誰かを敵に回してまで、自分の気持ちを貫く勇気がないんです。それなら、長いモノに巻かれて生きていくほうが…って思うんです。今まで、そうやって生きてきたから」

「他人の価値観で与えられた幸せは…凛にとって本当の幸福だった?」

あたしは首を横に振る

「あの空間で一生、生きていける?」

あたしはまた首を横に振る

「答え、凛の中でもう出てるんじゃない? ただ認めたくないだけ…そうだろ?」

あたしはコクンと頷いた

「一人じゃないだろ。俺がいる。辛いときは、二人で支え合っていけるだろ?」

莱斗さんが、あたしの肩を抱くと、額にキスをしてくれた

「凛、平気だから。俺、凛の母に反対されない人間になれる自信がある」

「ママは……医者にしか興味が無いよ」

莱斗さんがにこっと笑うと、定期入れのようなカード入れをジャージのポケットから出した

「凛、見て」

あたしは莱斗さんが開いた場所に入っている学生証を見つめた

「え? 『医学部』……はあ? えっ?」

あたしは目を丸くすると、莱斗さんの顔を見る

「第一関門クリア…だろ?」

「嘘…バスケと医学部の勉強って……両立できるもの? それにバイトって」

「一応、どうにか両立できてるよ」

莱斗さんは肩を竦めると、苦笑した