君を愛す ただ君を……

どうしてあたしなの?

莱斗さんと付き合いたいって思っている女性はこの会場だけでも、すごくたくさんいると思う

あたしでいいの?

あたし、夫がいるんだよ

愛情なんてない夫婦だけど、ただの形だけの夫婦だけど

戸籍上だけにすぎない…それでも、あたしは『永田圭輔』という男の妻だ

あたしは、外に出ていく女性たちと同じ方向に向かって歩いた

13という数字が見える

あたしがゲートに辿りつく前に、『キャー』という女性たちの悲鳴が起きた

重なりあう女性たちの合間から、白と赤のジャージを来ている男性陣たちが見える

その先頭をきって歩いてるのは、莱斗さんだった

莱斗さんに少しでも触れたい

そう思っている女性たちの手が前に伸びる

莱斗さんに振り向いてもらいたくて、名前を必死に呼んでいる声が、あたしの頭の中でひどく響いた

やっぱり…駄目だよ

この気持ちは、きっと表に出しちゃいけない気がする

莱斗さん…あたしみたいな人妻はいけないよ

あたしより、莱斗さんの横を歩いても似合う女性はたくさんいるよ

あたしは13番ゲートに背を向けると、歩き始めた

駅までは歩けない距離じゃない

少し風にあたりながら、頭を冷やしたい

あたしは携帯を出すと、メール作成の画面を引き出した

これで最後にしよう

莱斗さんにメールするのは、これで最後