君を愛す ただ君を……

旦那を朝、送り出すとあたしはすぐに新幹線に飛び乗った

駅につくとタクシーに乗って、大会の会場に向かう

『もう少しで、会場に着くよ。試合、頑張ってね』

あたしはタクシーの中で、メールを送信した

返信はなかった

たぶん、試合前で、携帯を見ている余裕なんてないのだろう

あたしは会場に着くと、早足で中に入る

早く見たい

莱斗さんのバスケ姿を見るのは初めてだから、一秒でも多く見たいと思った

どんなユニフォームで、どんな髪型で……どんな風にコートを走り回るのか

会場の中に入ると、わぁっと歓声に包まれた

ガコンと大きな音がして、あたしは音が聞こえてきたほうに目を向けた

ダンクシュートを決めたばかりの莱斗さんがガッツポーズを観客に見せながら、コート内を走っていた

端正な顔に、頬を輝かせて飛び散る汗が、莱斗さんを何倍も格好良い男に魅せた

心臓を鷲掴みにされたみたいにキューっと苦しくなる

コートの中央まで走ってきた莱斗さんが、あたしに気がついてくれるとニコッと微笑んでくれた

それだけの行為なのに、気絶しそうになるくらい嬉しくて、興奮した

赤いユニフォームを着て、コート内を走る莱斗さんの目が輝き、イキイキとしていた

バイトをしているときの莱斗さんとは大違い

コート内で大きな声をあげ、まわりに指示をだして動く、莱斗さんが格好良い

シュートを決める莱斗さんが、格好良い

ディフェンスをかわし、前に突き進んでいく莱斗さんがとてつもなく格好良い

あたしの目には、もう莱斗さんしか映らなかった

莱斗さん以外は、あたしの視界には入らない

こんな想いは初めて経験だった

胸が苦しい

まるで息の仕方を忘れてしまって、呼吸が止まっているみたいで

莱斗さんがシュートを決めて、こっちを見てガッツポーズをしてくれるたびに、あたしの胃が収縮し、呼吸が浅くなった