君を愛す ただ君を……

2週間過ぎても、先生の奥さんの姿が見られなかった

毎日のように繰り広げられる珍行動を期待して、カーテンを開けるのに…玄関から出てくるのは先生一人で、玄関にもベランダにも奥さんの姿はなかった

バイト前に、先生の家を前を通っても、人の気配がなかった

庭は荒れていく一方で、ベランダに洗濯物を干したような形跡もなかった

ドイツの滞在が長くなったのかな? なんて暢気に考えてた私だったけど、心の隅では少し不安もあった

「オーダー、はいりまーす」

私はいつものようにバイトをしていると、バイトの女の子たちが一人客の男性を見てコソコソを話をしていた

「ちょっと、アキちゃん、見て! あの人、誰を待ってるんだと思う?」

「え?」

バイト仲間の子に腕を引っ張られると、越智先生の姿があった

腕時計をしきりに気にしていた

そのとき、一人の女性が先生の前に腰を下ろした

越智先生の奥さんだった

綺麗にお化粧をして、服もブランド物に包まれていた

越智先生が凄く寂しそうな目で奥さんを見つめている

「なんだぁ…女性かぁ。つまんないのぉ」

バイトの子たちが、残念そうに口を尖らせている

どうしてこんなところで、先生と奥さんが話をしているのだろう

二人で話をするなら、家があるのに

それとも何かの記念日とか?

なら、もっと高級なレストランに行くよね?

越智先生、お金持ってるもの

居酒屋でなんて、食事をしたりしないよ

どうして、ここに二人でいるの?

なんで越智先生はあんな寂しそうな顔をしているの?