「そんなの気にする必要ないよ!」

さらにレイちゃんが言葉を続けようとすると、あたしの携帯が鞄の中で鳴りだした

あたしは鞄の中から携帯を出した

『越智愁一郎』と液晶に表示されていた

「あららぁ?」

レイちゃんが嬉しそうな顔をする

あたしはレイちゃんに背を向けると、携帯を耳にあてた

「も、もしもし?」

『今、どこにいるんだ?』

「あ…看護師のレイちゃんと食事をしてて」

『迎えに行く。どこにいる?』

「迎え…って。いいよ。あたし……」

『嫌だ。迎えに行く。じゃないと、俺のいるマンションに帰らないだろ?』

嫌だって……拗ねた子供じゃないんだから

困ったな

また、家に帰るのが遅くなるはのちょっと、困るんだけど

あたしはレイちゃんに視線を送ると、レイちゃんが店の場所を電話口に向かって叫んでいた

「ちょ…ちょっと!」

『すぐに行くから』

越智先生との電話が途切れた

彼が勝手に切断にしたのだ

「レイちゃん!」

「だっていいじゃない。もともと結婚する予定の二人だったんだから。見合い相手の女と仲良くされるより、いいっつうの!」

あたしは唇を尖らせると、ママの携帯にメールをした

『今夜も遅くなるかも……』

『やっぱ新しい彼氏?』

ママからすぐに返信がくる