「陽菜、大丈夫?」

レイちゃんが二人きりになると、あたしの肩をポンポンと叩いた

「え? あたしは平気だよ。ただ海東君が可哀想だなあって。軽部先生を誘ってこっぴどく振られてるからさあ」

あたしは笑い声をあげた

「あー、あいつねえ。ざまあみろって感じ? 私を振っておいて、他の女とうまくいくなんて有り得ない」

レイちゃんが冗談交じりに言うと、くすくすと笑った

でもどこか寂しそうだった

「海東君いわく、ただお茶に誘っただけって言ってたけどね」

「テレ隠しだよ。絶対、思い切りデートコースを提案して誘ったと思うよ。んで、ばっさり切り捨てられたね」

レイちゃんが手を刀代わりにして、ばっさりと切るジェスチャーをした

「海東君、顔は悪くないのにね」

「軽部先生にとったら、顔よりも学歴と将来性が重要視されるのよ」

「海東君、看護師として将来性はあると思うけど…」

あたしの言葉に、レイちゃんが「ちっちっち」と指先を左右に振った

「甘いなあ。海東のバカと研修医を比べてみなさいよ! どっちが魅力的?」

あたしは空を見上げると、首を傾げた

「返答に困る」

だってあたし、越智君が好きだし……

「ほらね。海東のバカが振られる道になるでしょ」

レイちゃんが肩を揺らして笑う

「私で我慢しておけばいいのに…高望みしすぎなのよ、あいつは」

レイちゃんの笑い声が急に止まると、あたしの腕をぎゅっと掴んだ

え?

あたしはレイちゃんの顔を見てから、視線の先を追った