あたしは、学校を退学した

終業式にも出席せず、越智君の家の病院に入院した

入院費は、越智君のお母さんから貰った手切れ金で支払った

窓から見える風景が、すごく寂しく感じるのは、きっとあたしが心細くなっているせいかもしれない

越智君との別れに後悔はしてないけれど、ときどき、越智君に最後に抱きしめられた感触が身体に蘇るの

胸の奥がキューって締め付けられて、身体がゾクってなる

思わず涙がこぼれて、気がつくとベッドの枕を濡らしていた

真っ暗な病室で、ふと瞼を持ちあげると、ベッドの脇にある丸椅子に誰かが座っていた

え? もう面会時間は過ぎているのに

あたしは目をしっかりと開けると、影の主を判別しようとした

「お…越智君?」

「シッ。涼宮、大きな声を出すなよ。看護師にバレるだろ」

越智君の温かい手が、あたしの唇に触れた

「どうして?」

「明日、手術だろ? 病院にいるって思ったら、家でじっとしてるなんてできなくて」

暗い室内で、越智君の指先が唇をなぞり、そしてあたしの手を握りしめた

「家…平気なの?」

「さあ? 部屋の窓から抜け出してきたから」

「え?」

「いいんだよ。気にすんなよ」

越智君があたしのベッドに座ったと思うなり、あたしの額にキスをした

「ごめん。別れたのに…な」

あたしは首を横に振った

「好きなんだ、涼宮がすげぇ好きだよ。触れたくて、触れたくて…我慢ができないんだ」

越智君の唇が、あたしの唇にそっと触れた

軽いキスの次には、越智君の舌があたしの唇を割って入ってきた