君を愛す ただ君を……

「聞きたくない」

越智君が、ぼそっと呟いた

あたしがここに来た理由をもうわかっているのかな?

あたしは、視線を一度下に落とした

困ったな

言わないとなのに

だって、言わなくちゃ、あたしずっと越智君を好きなまま、ズルズルといっちゃう

越智君のお母さんが怖いの

「越智君、あたし…」

「岡崎に丸めこまれた?」

越智君が寂しそうな顔をして、微笑んだ

力のない笑みで、口元を微笑むと、越智君の目が赤くなっていった

「大ちゃんは…別に…」

「昨日、涼宮を家に帰さなきゃ良かったな」

越智君が立ち上がると、部屋にある大きな窓の前に立った

あたしに背を向けて、腕を組んでいた

「え?」

「すげえ、迷ったんだ。涼宮と一緒に手術までこの部屋で過ごそうか…どうしようか。でも俺のとった行動で、涼宮のご両親に心配はかけさせたくなかったから」

越智君が、言葉を止めると、短い髪をガシガシと掻き毟った

「あぁ、ひでぇ後悔した。この部屋で、一晩一緒に過ごせば良かった」

「ごめんなさい」

「謝るな」

越智君の低い声に、あたしの肩がびくっと跳ねあがった

怖い…越智君の声がすごく低くて、怖いよ