君の声が聞こえる

 僕の怒鳴り声に尋常でないものを感じた男子の一人が、体育講師を呼びに行った。

半田はオロオロしながら、僕と倒れた雅巳を見比べている。

「何で須藤が試合してるんだよ!コイツがいつも見学していたのは知ってただろ!」

「何だよ、俺が悪いって言うのか……須藤さんだって俺が誘ったら喜んでいたんだぞ!」

 言い訳じみた言葉に僕は半田を睨みつけた。

「もう須藤に関わるな。須藤が倒れて言い訳するようなヤツに須藤を好きでいる資格なんてない!」

 僕の言葉に半田は唇を噛み、何か言い返そうとした。しかし、僕の腕の中でぐった

りしている雅巳を見て言葉を呑み込んだ。

 僕たちの間には重い沈黙が漂い、周囲も息を呑んで様子をうかがっている。そんな最悪の状況の中で体育講師の上田がやってきた。

 上田は僕の腕の中で意識を失っている雅巳を見て一つ息をつくと「やっぱり須藤か」と呟いた。屈み込んで、腕をとって脈を診たり胸に耳を当てた後、「心臓じゃないな」と言葉を紡いだ。

 その言葉を聞いて、僕はホッとする。倒れた様子から持病が原因、というよりは体力のなさからきた倒れ方だとは思っていたのだ。