君の声が聞こえる

しかし、そんな事より僕を憂鬱にさせる事があった。

雅巳と同じ班には、雅巳の事を狙っている半田俊哉がいた事だ。

俊哉が雅巳の事を見る目は、あからさま過ぎる。僕に対して敵意剥き出しな態度も、正直言って気に入らなかった。

「オイ、加藤」

 授業が始まる前、半田に声をかけられて、僕はイヤイヤながらも、顔だけ半田の方に向けた。

「何だよ」

「最近、お前さ、須藤さんと一緒にいる事が多いよな。付き合っているのか?」

 半田の言葉に僕はすごく嫌な顔をしてしまったようだ。半田は答えを聞く前に、僕の表情を見た事で答えを見つけてしまったようだ。

「何だ。付き合っているわけじゃないんだな」

 勝ち誇ったような半田の表情に、ムカついてしょうがない。

「それじゃ、俺とお前は同じ立場だと思っていいわけだな。ま、お互い頑張ろうや」

 半田は僕に何も言わせず、言いたい事だけ言って僕の肩を叩いて去って行った。

 何だよ、アイツ。

 勝手に話し掛けてきて人が何か言う前に自己完結していった。

 あんな中身がないヤツを雅巳が選ぶはずがない。

 負け惜しみのようにそんな事を思いながら、僕はバトミントンの授業が行われている総合体育館に向かった。