君の声が聞こえる

そして、季節は流れ、事態が動く事のないまま、夏は過ぎ秋になった。

キャンパス内の広葉樹の葉が茜色に彩られた頃になって、ようやく僕達の関係は動き出した。まるで坂道を転げ下りるように。

それが良い事なのか、悪い事なのか、考える暇もないほど、僕達の関係は急激に変わり始めたのだった。





後期の体育の授業を選択する際に、僕は迷わずバトミントンを選んだ。バレーボールや器械体操、サッカーやテニス、バスケットなど華やかで目を引く授業の中からバトミントンを選んだ理由は明白だ。雅巳がバトミントンを選択したからだった。

雅巳が体育の授業の中からバトミントンを選択した理由も分かりやすい。

授業の中で、最も体を動かす度合いが、他の授業と比べて低かったからだろう。まあ、競争率が一番低かったのもあるだろうが。

とはいえ、雅巳は体育の授業に参加する事は、まずない。大概見学か、審判や得点係に納まっている。

このバトミントンの授業は班ごとに分かれて他の班とダブルスで対戦するという内容だ。

班は八班あり、一班につき五人で構成されている。

僕は残念な事に雅巳とは別の班になってしまった。