失いたくない
(by・睦月)
僕は雅巳とちゃんと話し合いたかった。
良枝から聞いた事実から自分が考えた事が本当かどうかを確かめたかった。それなのに時間は、僕の気持ちも考えも無視して、どんどん前に進んでいってしまう。
雅巳は、僕を拒否したりはしなかった。どういうわけか、良枝と雅巳が一緒にいる姿を見なくなってきた頃、僕は雅巳といる時間が増えてきた。
と言うよりは、僕が雅巳に付きまとうようになったというのが正しいだろう。
雅巳はそんな僕を拒絶したりはしなかったが、受け入れるような事もしなかった。
僕と雅巳の間には、見えない高い壁が存在していた。その事が、雅巳にとって良枝という存在がどんなに特別な存在だったかを示していた。
雅巳と一緒にいる時間が増えるにしたがって、分かってきた事がある。
雅巳は誰とでも親しく話すし、一見、多くの友人に囲まれて器用に人間関係をこなしているように見える。しかし、実際は決してそんな事ないのだ。
彼女は多くの友人達と一線を引いて付き合っていた。もちろん、相手にそんな事を気付かれるような言動はしない。
(by・睦月)
僕は雅巳とちゃんと話し合いたかった。
良枝から聞いた事実から自分が考えた事が本当かどうかを確かめたかった。それなのに時間は、僕の気持ちも考えも無視して、どんどん前に進んでいってしまう。
雅巳は、僕を拒否したりはしなかった。どういうわけか、良枝と雅巳が一緒にいる姿を見なくなってきた頃、僕は雅巳といる時間が増えてきた。
と言うよりは、僕が雅巳に付きまとうようになったというのが正しいだろう。
雅巳はそんな僕を拒絶したりはしなかったが、受け入れるような事もしなかった。
僕と雅巳の間には、見えない高い壁が存在していた。その事が、雅巳にとって良枝という存在がどんなに特別な存在だったかを示していた。
雅巳と一緒にいる時間が増えるにしたがって、分かってきた事がある。
雅巳は誰とでも親しく話すし、一見、多くの友人に囲まれて器用に人間関係をこなしているように見える。しかし、実際は決してそんな事ないのだ。
彼女は多くの友人達と一線を引いて付き合っていた。もちろん、相手にそんな事を気付かれるような言動はしない。



