俺、須藤に自分の気持ちを伝えて、ちゃんと話し合ってみる」

 まっすぐな加藤君の瞳に見つめられて、私は居心地が悪い感覚を味わった。そんな自分の感情を隠すために、目の前の冷え切ったカレーの皿に視線を移す。

 私の加藤君へ対する見方が変わった。

少なくとも、雅巳と真剣に向き合おうとしている気持ちが伝わってくる。

そこまで一人の男の人に強く想われている雅巳が羨ましくさえ思えた。

 何も言う事が出来ない私に、加藤君は「本当にありがとう」とだけ言い残して、空になったどんぶりを乗せた盆を手に、今度こそ本当に私に背を向けた。

 私は返却口に向かう加藤君の背中を見ながら、言葉には言い表せないような複雑な気持ちを抱えていた。

 今まで、私は雅巳に近付く男の子の邪魔をしてきた。でも、加藤君はこれまで雅巳に近付いてきた男の子達とは違う。

どこがどう違うかは分からないけれど、とっても一途な人なんだと思う。そして、雅巳の特別な存在に成り得る人だ。

そこまで考えて、胸がズキンと痛んだ。

もし、雅巳が加藤君の事を好きならば、二人にはうまくいって欲しいと思う。

雅巳が病気の事を気にしているのは知っている。