「須藤って何か大きな病気なの?最近、気が付いたんだけど、俺、須藤が走っているところ見た事ないんだ。それに、この間、病院で会った時、定期検診に来たって言っていた」

 私は迷った。雅巳の病気の事を加藤君に話してしまっていいのかどうか。

「秋山さん、俺は聞かれた事を答えたよ。自分で話せる範囲でね。秋山さんも話せる事を話してくれよ」

 私はため息を一つ吐き出した。

 確かに、加藤君の言う通りかもしれない。

「私もはっきりとした事は知らないの。雅巳からは私に何も言ってくれないから」

 そう前置きして、私の分かっている事を加藤君に話した。

 私と雅巳の出会った時の事。そして、三倉君へ雅巳が言った言葉。

 総合して分かる事は、雅巳が悪いのは心臓で、状態も重い疾患であろうと予測がつく事ぐらいだ。

治るか治らないかさえ、私は知らなかったし、雅巳が、そこまで人を好きになったりする事に臆病になる事を考えると、治らない確率のほうが大きいのではないかと思えた。

 話し終えた私と加藤君の間には重い沈黙が流れた。

「秋山さん、話してくれてありがとう。でも、俺はこのまま須藤の話も聞かないで終わるのはイヤなんだ。