だけど、私の事を好きになったら駄目だっ
て言われた」

「嘘!」

 私が知っている雅巳は相手が告白してきたわけでもないのに、自分からそんなことを言い出す子ではない。

自惚れだって強い方ではないはずだ。それなのに、加藤君に対してそんな事を本当に言ったのだろうか?

「嘘じゃない。映画に誘ったらそう言われた。友達としてなら一緒に行ってもいいけど、それ以上を望むなって言われたから、それなら映画には一緒に行きたくないっていったんだ。そしたら、私の事を好きになったら駄目って言われた」

 私を好きになったら駄目……。

 ああ、雅巳の気持ちが見える気がする。

 その言葉は……多分、加藤君に言った言葉じゃない。

 恐らく、雅巳が自分自身に言い聞かせた言葉だ。

 雅巳、そんなに加藤君の事を好きになりそうな自分が怖いの?

 私は頭の中で何度も雅巳に語りかけていた。

もちろん、それに対しての答えはないけれど。

「秋山さん、今度は俺が聞きたいんだけどいいかな?」

「何?」