どうやら今日の給食のコッペパンにはジャムのオマケが付いていたらしい。

小さな容器に入ったジャムは味気ないコッペパンの彩りとしても大人気だ。それを忘れたという事で、私は自分の尻拭いをする羽目になっているのだ。

 こういう事はよくある事なので、別になんとも思わない。またやっちゃったな~ぐらいの感覚だ。

 給食のコンテナーの前に行くと、廊下に何か白い塊が転がっていた。

 あの白いのはなんだろう?

 訝しげな気持ちで、その塊に近付いて行くと、それが自分と同じように給食エプロンに身を包んだ女の子がしゃがみ込んでいるのだ、という事が分かった。

 一体、何をしているんだろう?

 しゃがみ込んでいる女の子の顔を見た時、それが隣のクラスの須藤雅巳だという事に気が付いた。

まるで天使のような、という形容詞がピッタリな色白の雅巳は、いろいろな意味で目立っていた。

 テレビの子役にでもなれそうな綺麗な顔をした雅巳が、心臓疾患を患っている事は、同じ学年の者なら、みんなが知っている事だった。

 雅巳は苦しそうに美しい顔を歪め、額に汗を浮かべながら胸を両手で押さえていた。