雅巳が死んだ?

 嘘よ。だって昨日会った時だってあんなに元気だったじゃない。

『明日は睦月が一緒に検診についてきてくれるって。帰りに私の誕生日を祝ってどこかで食事でもしようって話なの』

 華やいだ笑顔で言葉を紡いだ雅巳は、世界で一番幸せだと体全体で主張しているみたいだった。あんなに元気だった人がわずか一日で死んでしまうはずがない!

 これは悪い夢なんだ。目が覚めたら、どうしてこんな夢を見てしまったんだろうと少し気まずい気持ちになりながらも、現実ではなかった事に安心するのだ。

 早く目を覚まさなくっちゃ……。

 現実逃避をしようとしながらも、頭の片隅ではこの辛い現実が夢ではない事を認識していた。

私はその場でしゃがみこんで、大きな声をあげて泣いた。

 私の声に驚いたようにお母さんが走って私の元にやってきた。

「どうしたの?」

 わあわあと大声を上げて泣き続ける私に、お母さんはなんと声をかけたらいいか分からないようだった。

ただ、今の電話の内容があまりいいものではないという事は感じたらしく、視線が電話に向けられていた。

「電話……誰からだったの?」

 ひっくひっく、としゃくりあげながら、私は首を振った。