君の声が聞こえる

確かに妊娠すると不安定になると聞いた事がある。

 雅巳があんな事を言ったのもそのせいなのだ。そう言い聞かせて私は頷いた。

 雅巳に言われるまでもなく、私は雅巳の子供を好きになる自信があった。

 何しろ私の大好きな人達の子供なのだ。

 私は絶対に雅巳の子供の事を好きになるだろう。

「良枝、指切りしてくれる?」

「いいわよ」

 私は雅巳の細い指と自分の指を絡ませた。 

「指切りげんまん、嘘ついたら針千本のーます。指切った」

「指きりげんまん、嘘ついたら針千本のーます。指切った!」

 私と雅巳の声が重なり合って何だかくすぐったいような気持ちになった。

「約束ね」

 雅巳の笑顔に、私はようやく笑顔を返す事が出来たのだ。