君の声が聞こえる

愛の証

(by・睦月)

 夏休みのゼミ合宿の帰りに結ばれてから、僕の雅巳に対する想いは強くなるばかりで、自分でもこの想いがどこまで行ってしまうのか不安になるぐらいだった。

 雅巳に呼び出されて、正直言って戸惑いがあった。

あらたまって呼び出されるまでもなく、僕達はいつも一緒だったし、「大切な話がある」と電話越しから聞こえてくる声は緊張で強張っていた。

「どこで待ち合わせする?」

「いつもの公園で待っているわ」

「大きな公園だね?」

 念のため、確認するように聞くと雅巳は受話器の向こうで沈黙した。

「雅巳?」

「あ、ごめんなさい。そうよ。私の家の近くにある大きな公園よ」

 雅巳の様子は変だった。

また一人で何か悩んでいるのか?

そう考えたら、居ても立ってもいられない気持ちになった。

「すぐ行くよ」

 時間は八時を回っていた。夕飯をすませた僕は、これから風呂に入って寝る支度を始めようと思っていたが、それどころじゃなくなってしまった。

 雅巳がどうしてこんな時間を選んで電話を寄越したのかは分からなかったが、とても大切な事なのだろう。

そして、誰にも聞かれたくない話に違いない。