料理上手な雅巳は、ものの三十分で三種類のお惣菜を作ると魚を焼き、味噌汁を添えて、あっという間に夕飯の支度をした。

私が手伝おうか、と言うと「今日は時間がないから、また今度ね」という辺りが、何とも正直者である。

つまりは私が手伝うと余計な時間がかかって嫌だ、と言っているわけだ。

まあ、確かに、それは事実であるが。

そして現在、仕事を終えて帰ってきた雅巳の母親と私たち二人は食卓を囲んでいるのである。

 視線に気付いたように雅巳の母親が私の方に顔を向けた。

「良枝ちゃん、私の顔に何かついてる?」

 雅巳の母親に聞かれて、私は首をブルブルと振った。雅巳に助け舟を求めて、視線を向けるが、根が正直で単純な私と違い、雅巳は無表情にご飯を食べている。

「おばさんは、いつまでも綺麗だなって思っただけです……」

 力なく、言い逃れるようにして口にした言葉に納得したとは思えないけれど、雅巳の母親は私の言葉に笑った。

「良枝ちゃん、そんなお世辞言っても何も出ないわよ」

「お世辞じゃないです。本当に若いし、こんなに綺麗なお母さんがいる雅巳が羨ましいなっていつも思ってたんですよ」

 必殺褒め殺し(?)攻撃。