予定の入っていなかった日曜日の昼下がりに、雅巳から電話をもらった私は、自宅近くの児童公園に足を運んだ。

雅巳がそこにまで来ているというのだ。今は公衆電話から私の家に電話をかけているという。

 雅巳と私の家は決して遠くない。

 もし用事があるなら家まで来ればいいのに、と言うと雅巳は「誰にも聞かれたくない話があるの」と平淡な声で告げた。

 その声から雅巳の感情を探る事は出来ない。雅巳は自分の感情を抑えるのを得意としているから尚更だ。

 こうなってしまうと、私に選択の余地はなくなる。

「分かった。すぐに行くから待っていて」

 そう返事するしかないのだ。

 雅巳は普段誰かに頼るような子でもないし、何かを頼むような事もしないだけに、彼女の身に降りかかっている何かは、とても大きな事なのだろうと私は察した。

 私の返事に雅巳は「待っているわ」と答え、電話を切った。

 雅巳の待っている公園に駆けつけると、彼女は木陰の下にあるベンチで座って私を待っていた。私が公園の前に到着すると、すぐに雅巳が木陰から出てくる。

「急に呼び出してごめんね」

 雅巳は開口一番、そう言葉を紡いだ。