君の声が聞こえる

君と僕

(by・睦月)
 
雅巳に避けられていられている。

理由は分からなかったが、その態度はそうとしか考えられないようなものだった。

僕の誘いは全部断ってしまう。勿論それだけではなく、電話をしたって同じだった。

もともと長電話をするような子ではないので、早々に切られてしまう。

僕が何をした?

そう聞きたいのに、その時間さえ与えられない。

 僕は、この年になって初めて切ないという感情を実感したのだった。

 そして、雅巳の気持ちを知ることのないまま、夏休みに入ってしまい、僕は予定いっぱいに入れたバイトを淡々とこなすだけの寂しい日々が続いたのだった。

 そのバイトにしたって、雅巳と夏休み中、どこかへ行く予定を立てたいがためのはずだったのに、何がどう間違ってしまったんだろう。

 八月の上旬、雅巳がS大病院に入院した、と良枝から聞かされた。入院といっても、検査をかねたものらしい。体力のない雅巳は、夏になると倒れることも多く、この暑さは雅巳の心臓にも大きな負担をかける。

そこでここ何年かは夏休みになると、検査をかねた入院をするようになったらしい。

まあ、二泊三日ほどのものだから本当に心配する必要はなさそうだ。