俺は我慢しきれず、振り返りかけたちひろの手を引きよせ、ギュッと抱き締めた。 俺の腕の中にいるちひろは、細くて、柔らかくて、いい匂いだった。 電車で抱き締めたときと、同じだった。 違うのは、俺の気持ちだ。 今、俺は、君が好きで好きで、たまらなくなってしまった。 この気持ちを、伝えたい。受け入れてもらえなくても、いい。 このままだと、自分の中の気持ちが溢れて、どうにかなってしまう―