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ということは、尚登とちひろがキス!??
ちょっと待った。そんなのは見たくない。俺だってしてないのに、尚登にキスさせるわけにはいかない。
舞台上では、ちひろが尚登の顔を凝視している。
「なあ、陸。いいのか?尚登とちひろちゃんがキスしても?・・・っていうか、ちひろちゃん、相手が尚登だって、今気がついたみたいだな?」
ちひろは、さっきまで見せていた表情とは違い、驚いた様子で尚登の顔を見ている。そして、何か呟いた。
“なおと、くん?”
そう口が動いたように見えた。
尚登が小さく頷いたのも、わかった。
ちひろがあまりにキスを躊躇していたからだろう。会場がざわざわし始めた。そして、だれかが、
「キース!」
と言うと、会場全体で、キスコールが始まった。
「キース、キース、キース!」
ちひろは困ったような顔をして尚登を見た。尚登が何か言っているのが見えたが、何を言ったのかここからは、分からなかった。
・・・このままじゃ、ちひろと尚登がキスしてしまう。
ちひろが、すうっと息を吸い、尚登に顔を近づけた。
