ドキドキドキドキ…

意識し始めると、ダメだった。心臓がうるさいほどに鳴っているのが分かった。

落ち着け、私!呼び出したのは私だし、変な態度を取ると、陸くんにも変に思われちゃう!

飲み物を買っている間に気持ちを落ち着かせ、陸のところへ行った。

「おまたせ…」

良く見ると、席は店の一番奥の角、ソファがL字になっている。2人座ると、膝がぶつかるくらいの近さになりそうだった。

私が座るのを躊躇していると、陸が慌てて言った。

「ご、ごめんね?この席しかあいてなくて…。ちょっと座りにくいよね…」

慌てて大きな身体を縮めた様子がおかしくて、私は思わず笑ってしまい、緊張がとけた。

「ううん、平気!私こそ、呼び出してごめんね?…随分待ったんじゃない?」

陸のコーヒーはすでに空になっているようだった。

「や…暇だったから、すぐ出て来たんだ。…ちいちゃんこそ、…急いで出て来たんじゃない?」

そう言われて自分の姿を見ると、いかにも部屋着のショートパンツと上は薄手の長T一枚だった。

わー。今日はまだ暖かいとはいえ、上着くらい着て来るんだったなあ…。

陸はそんな私を見ると、ちょっと笑って、

「…座ったら?」

と、私のために大きく席をあけて、奥に座った。