窓から見える陸は、今まで見たこともないような眼をして、竹刀を振っていた。電車で会った時も、夏祭りで一緒にいた時も、いつも穏やかで優しい目をしていた。どちらかというと、気弱そうでもあったのだ。 でも、今は違う。 射るような眼差しで、稽古の相手を見据えている。顔つきまで、変わっているようだ。 ・・・カッコ、いいな。 そう思った。 優しい瞳。猛々しい顔つき。照れて赤くなった顔。 ほかに、どんな顔があるんだろう。 陸のこと、もっともっと、知りたい。そんなことを、思っていた。