「ねえ、ちいちゃん!聞いてる?」 弥佳の声で思考が中断されて、現実に引き戻された。 「え?何?」 「もー。あのね、今年はそのダンスがあるから、ちいちゃんには男性側のダンスを教えるからね?うまくリードできるように、特訓するから!」 結局、そうなるのね…。 私はもう、反論する気力も残っていなかった。 そして、何か気がつきかけたことも、すっかり忘れてしまっていた。