無駄な思考を巡らせていると、不意にショーウィンドウ越しにある可愛いぬいぐるみを見つけた。

クリスマス仕様なのか、白い雪のようなくまのぬいぐるみ。

そのあまりの可愛さに、わたしはつい立ち止まって見入ってしまった。


「……お嬢様、そのテディベアが欲しいんですか?」


かじりつくようにショーウィンドウに顔を近づけていたわたしの耳に届いたキサラギの声で、わたしは慌てて首を振った。


「えっ、ちっ…違うわよ!ただ、ちょっと可愛いなぁって思っただけで…!」


変に焦るわたしを見て、キサラギはニコリと笑う。


「お嬢様は、可愛いものが大好きですからね」


……キサラギに隠しても、すべてお見通しだから、意味がないのよね…。

諦め気味に視線を宙に向けるわたしに、キサラギは。


「そのテディベア、プレゼントしましょうか?」

「……えっ!?」


予想外の言葉に、わたしは瞬きも忘れてキサラギを見上げる。

たしかに、欲しい。


だけど。