道行く人々は、みんな幸せそうに笑っている。
そう言えばわたしとキサラギの格好は、この街中では目立つもの。
だけどみんな世界に入ってしまっているのか、こちらに気づく人なんて居ない。
クリスマスイブの魔法って、すごいと思う。
そしてその中に、きっと今、わたしも混じってる。
こんなに素敵なことってないわ!
ルンルン気分のわたしを見て、キサラギは嬉しそう。
「楽しそうですね、お嬢様」
「もちろんよ!嗚呼…こんなに素敵な日が、今までにあったかしら!」
空いている方の手を高く上げると、キサラギはクスクスとおかしそうに笑った。
もちろん、もう片方の手は、キサラギと繋いでいる。
あったかい。
こんなにあったかくて優しい手を持っているのは、きっとキサラギしか居ないと思うのよ、わたし。


