そう。

愚痴ったりしてはいたけど、“街のイルミネーションが見たい”なんて一言も言ってない。

ずっと、心の奥に秘めていただけで…。

するとキサラギは、いたずらっぽく笑って、わたしの頬をつついた。


「書いてありましたよ?お嬢様の顔に」

「なっなんですって!?」


反射的につつかれた頬を隠す。

そんなわたしを見て、キサラギは楽しそう。

この執事……絶対わたしをいじって楽しんでいるわね…!

昔からわかってたことだけど!

むくれるわたしなんて知らんぷりで、キサラギは街路樹の輝きを見上げてから。


「さぁ、どこに行きますか?何なりとお申し付けください」


なんて、うやうやしく胸に手を当てて頭を下げる。

わたしはちょっと気恥ずかしくなってきて、しどろもどろに答える。