「だ~!かっこわりぃ~」

後ろ髪を押さえながら戻ってくる誠さん。

私が数々のジャムを眺めているのに気付いて話し掛ける。


「あぁ、どれでも好きなの使って?何がいいか分かんなくってさ!」


「………」


誠さんは痛いほどに気を遣う。

またその優しさを騙していると思うと、さらに心が痛んだ。





「顔…洗ってくるね」


言葉に詰まった私は、誠さんと買い揃えられたジャムから逃げるように、洗面所に向かった。



逃げるように向けた背中に…誠さんの視線が刺さっている気がした。