-roop-

「…確かに私はまだ生きてる。でももう、死ぬことは…決まってるの。私のアザは…………

もう消える。」


そう言って、彼女はまた自分の肩に触れた。

もうほとんど色味を持っていないその肩を、彼女はその微かな青さを名残惜しむように撫でる。


静かに微笑む彼女の表情が胸に刺さった。


煙草をふかし、余裕の表情を浮かべていた最初の彼女からは想像できないほど悲しそうだった。

人間味をあまり感じなかった彼女に、溢れさせることのできない感情が見え隠れするのを私は感じていた。


むき出しになったままの細い肩と

やり場のない想いに微笑むしか方法を知らない…その彼女の顔を隠すショートの髪が…

物悲しく私の視線を奪っていた。




彼女には…

生前の記憶がある。



まだやりたいことがたくさんあって、やりかけのことだってたくさんあって

離れたくない人だってたくさんいたはずだ…




何も知らずに死ぬのと全て覚えたまま死ぬのは、本当はどっちが辛いんだろうか？



--温かく幸せな想い出--

だが、それがあればあるほど死に別れる悲しみは大きい…。


現世の記憶を持ったまま、ただアザが消えるのを待つことしか出来ない彼女と、何も覚えていない私は…

本当はどっちが辛いんだろう…？


そう尋ねると、彼女は苦笑いしながら答えてくれた。