そんな私の背中を千夏さんは優しく撫でる。


「……どうして謝るの……?」


私は千夏さんの胸からバッと顔を上げた。


涙でぐしゃぐしゃになったまま…心がボロボロになったまま…必死で千夏さんに訴える。


「…だって…だって…!!私は…私は誠さんを……貴方の恋人を本気で……っ…本気で愛っ…」


嘲ってよ、怒鳴ってよ、殴ってよ、突き落としてよ。

だって私は

私は………っ!




「…でも…約束…果たしてくれたんでしょう…?」


「約…束……」




--結婚……しよう…--



左手には…確かに重みを感じた左手には……もう指輪は…残っていなかった…。




「……っ…あぁ……っ……」



『千夏』


『千夏』



『千夏ーーーーーーーーーーーー!!』





「あああああああーーーーー!!!!」


身体を崩して泣き叫んだ。


「誠さっ……あぁあ……っ!!!」




心が引きちぎられそうだ…。

心が…心がちぎれる…。




ちぎれる……ちぎれる……。