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ザァァーー…

誰もいない砂浜で、ただ空と海の交わる先を見つめていた。

足元に寄り添う波の音と、漂う潮の香りはあの日と何も変わらなかった。



『ほら!千夏も入れよ!気持ちいいぜ?』


誠さん…


『って、おい!千夏!水かけすぎだってっ!こんなんで車乗れねぇよ~!』


誠さん…


『…ほんとは…っ…ずっと………ずっとこうして抱きしめたかった……っ』



どうして…

どうしてこんなに愛してしまったんだろう…。

愛さなければ…こんなに…こんなに苦しまずに…苦しめずに済んだのに…。



でもそれでも…貴方と過ごした時間が、

かけがえのないほど幸せなものだったという事実は…何にもかえられはしない…。